空気線図を空調機と関連させて解説します。(基礎編)
こんかま(@KAMATARIcomplex)です。
今回は空気線図の見方・使い方(基礎編)を解説します。
「空気線図」は空気の状態を理解する上で必要な情報をまとめた線図です。
正直な話、空気線図が読めなくてもビルメンの仕事は難なくこなせるでしょう。
しかし問題が発生した時や現状改善を提案する際に必ず必要になる知識です。
よく見もせずに忌み嫌うのは社会人としてあまり良くないので、まずは立ち向かってみましょう。
この記事はこれから空気線図に戦いを挑む方を応援・サポートすることを目的としています。
まずは概要を理解し、そして実務と関連させて知識を深めましょう。
空気線図の概要
空気線図の見方をとても丁寧に書かれているサイト様がありました。
(リンク先の動画が特に分かりやすいです。)
基礎はお任せにしたので実務に紐付いた説明をしていきたいと思います。
まずは下図をご覧ください。
(ネットで拾った画像を一部改変しております。)
空調機の概要図に書いてある番号と空気線図の番号は対応しています。
空気線図に記載の青文字・青線は冷房時、赤文字・赤線は暖房時の空調を表しています。
基本的には番号順に空気線図を追えば理解しやすいと思います。
【冷房(夏季)】
では番号順に追っていきます。図の青い番号と線を追ってください。
番号①:室内の空気(還気)(温度21℃、湿度60%)
番号②:お外の空気(外気)(温度28℃、湿度60%)
番号③:①+②の混合空気。(温度24℃、湿度60%)この③を空調機で冷却します。
番号⑤:冷却された空気。(温度は24℃→13℃まで冷えています。湿度75%)
※番号④は空気中の浮遊物(ホコリ等)を取るためのフィルターを通過した空気なので温度変化はありません。番号⑤の空気が室内に給気されます。
【解説】
空調は基本的に①室内空気と②外気を混合させ、その空気③を空調します。
混合させる理由は2つ。
1つ目は室内のCO2濃度や浮遊物を削減し室内環境を良好に保つため。
2つ目は外気だけで空調するより、混合空気を空調する方がエネルギーが少なくて済むからです。
また③を冷却して⑤まで温度を下げる際の推移が斜めになっている理由は顕熱比が1.0ではないためです。(顕熱比の説明はこちら(外部リンク)をご参照ください。)
③に冷却コイルを通過させ温度を低くした空気が⑤です。通過する際には結露が発生します。
最終的に室内へは温度13℃の空気が給気されます。
13℃は低すぎるんじゃないかと心配する方もいるかと思いますが
⑤は①と混合し、室内冷房負荷(人間や機器からの発熱等)の除去分も含めれば問題ないことが分かります。
【暖房(冬季)】
引き続き番号順で追っていきます。図の赤い番号と線を追ってください。
番号①:室内の空気(還気)(温度18℃、湿度50%)
番号②:お外の空気(外気)(温度5℃、湿度60%)
番号③:①+②の混合空気(温度11℃、湿度55%)この③を空調機で暖房します。
番号⑥:暖房された空気(11℃→23℃まで温まっています。湿度25%)
番号⑦:⑥の空気を加湿(温度は変わらず、湿度が25%→45%に変化しています。)
【解説】
③までは冷房と同じ考え方ですので割愛します。
③に加熱コイルを通過させ温度を高くした空気が⑥です。
⑥の空気をそのまま室内に給気すればいいのではと思う方はこちらをご覧ください。
建築物における衛生的環境の確保に関する法律(通称 ビル管法)で
室内湿度は40%〜70%に調整する必要があるため湿度25%の空気は給気しても室内湿度を下げてしまいます。
そのため湿度調整で加湿を行いますが、加湿方式で空気線図の推移が異なります。
・水加湿:温度を下げつつ加湿する。(水が水蒸気に変化する際、熱を奪うため。)
・蒸気加湿:温度を下げずに加湿する。
今回の場合は蒸気加湿のため⑥は温度を下げずに⑦の湿度45%まで加湿されます。
そして⑦が室内に給気されるのです。
まとめ
空気線図を理解するには空調監視画面をたくさん触ることが大切です。
小規模なビルだと専用部はパッケージ型エアコン(家のエアコンと同じ)を導入しているビルも多くあります。
そのようなビルだと空調監視画面はあまり面白みはありませんが、別現場に配属された時にはガッツリ監視画面を探ってみましょう。